暇潰しにラノベ感想&時々イベントの感想もあるよサイト
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

Posted by : スポンサードリンク | - | | - | -
カーマロカ 感想
カーマロカ 将門異聞
カーマロカ 将門異聞
著者:三雲岳斗 評価:☆☆☆☆★

「平将門が生きて甲斐国に出現」
 坂東の地に独立国の野望を掲げ、国中を揺るがした承平・天慶の乱。940年、将門は道半ばにして戦場に散ったはずであった。
 まさかの報せにおののいた朝廷は、幻影を断ち切らんとばかりに当代随一の陰陽師、不死身の僧兵など、強力な追っ手を次々と差し向ける。
 民に慕われたという猛将は、夢破れて、いったいどこへ向かうというのか?
 壮大なスケールで描く、歴史伝奇ロマン。

--------------------------------------------------------------------------------
 こちらは2005年1月に刊行されたものが双葉文庫で再刊行されたものです。
 主に、平将門一行と差し向けられる追っ手たちとの手に汗握る(若干超人的な)戦いを描いたアクション物となっています。本作で描かれる平将門はいわゆるカブキ者で、恩を受けたものには己の身をかけてでも手を差し伸べ、敵に対しても必要以上には敵意をもたない、非常に竹を割った性格をしています。まさにそんな彼の性格こそが本作の魅力になっています。もちろん自身の空虚を満たすためという理由で戦う保憲や、御家の存続のために追っ手として加わった兼家もそれぞれに芯があって面白いんですが。
 平将門のたびの目的自体はさほど重要なことではないのですが、物語が閉まる直前にはあっと驚く展開があるので、読了後にもきっと心に残る作品だと思います。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 20:20 | comments(40) | -
聖遺の天使 感想
聖遺の天使
聖遺の天使
著者:三雲岳斗 感想:☆☆☆☆★

 15世紀のイタリア北部、湖水地方。嵐の夜、湖畔にたつ城館で、主人が壁に磔の格好で死んでいるのが発見された。同時に闇の中に天使の姿も出現したという。館には聖母子の姿を浮かび上がらせる奇跡の香炉――聖遺物が存在し、各地から聖職者らが派遣されていた。事件を解決すべく、ミラノからレオナルド・ダ・ヴィンチが乗り込む。ダ・ヴィンチの天才頭脳が、隠された謎を解く!

--------------------------------------------------------------------------------
 2003年に刊行されたものの文庫版で、双葉文庫刊の作品です。見開きには今回の事件の舞台となる館が図で載っていますが、そこから予想できる通り館物のミステリーです。読んでいて思いましたが、「普通ではありえない場所で死体が発見される」という状況ってほんと三雲さん好きですよね。その原因についてはそれぞれ違うにしても他の作品でもやってましたし。なにかこだわりがあるのかね?
 ともあれ、ミステリーとしては非常によくできていた話でした。ただ、すべてを分かっている様子なのに話をはぐらかしすぎるレオナルドが、そう思わせる個性が彼の魅力なのだと分かっていても、読んでいる側としてはちょっといらいらしましたよw
Posted by : ななかの | その他レーベル | 20:06 | comments(0) | -
機械どもの荒野 感想
機械どもの荒野
機械どもの荒野
著者:森岡浩之/イラスト:大本海図 評価:☆☆☆★★

 タケルは、荒野をさまよう機械どもを狩り、ジャンク屋に部品を売り払うのを生業とする狩人だ。ある日捕らえた機械が突然奇妙なことをしゃべりだし、タケルは半信半疑ながらその提案に乗って、花屋のカーシャと電脳調教師の鴉とともに荒野の果てを目指すことになってしまう。人類の技術文明が崩壊し、荒野には危険な機械どもがさまよう混沌の未来、衰退の一途をたどりつつある人類は、起死回生の一手に打って出るのだが……。

--------------------------------------------------------------------------------
 著者は星界シリーズでおなじみの森岡浩之さん。1997年にソノラマ文庫で一度発刊されたものですが、新たにハヤカワでだされていました。
 内容はいたってシンプルなSFで、機械が人間の手を離れて暴走し、人間が機械に襲われる世界での話になっています。旅の終わりに明らかになる真実は想像すればすぐに思いつくことなのであまり目新しさはありません。本作で真に面白いのは、機械知性体・チャルとの会話ですね。機械なのに妙に人間くさく、人間よりも正論を唱えるところが非常に楽しいです。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 17:32 | comments(0) | -
翡翠の封印 感想
翡翠の封印
翡翠の封印
著者:夏目翠/イラスト:萩谷薫 評価:☆☆☆★★

「汝はレガータ国王バリアーリの第五王女をヴェルマの王妃として、迎え入れることに異議はないか」
 この一言がセシアラの運命を変えた。少年王の手が、王女の顔を隠している面紗をゆっくりとめくる。その瞬間、テオドリアスは息をのんだ。目の前に緑の宝玉が二つ煌めいている。レガータの王女はきわめて珍しい翡翠の瞳をもっていた。王女がわずかに腰を折ると、テオドリアスは王女の頭頂部に口づけた。
 神殿で巫女姫として一生を終えるはずだったセシアラは同盟の証として北方の新興国に嫁がされた。緑の瞳と人には言えない能力をもつ少女は、悲壮な決意を秘めてヴェルマに赴く。そこで待っていたのは奔放に生きる少年王。少女はこの日、運命に巡りあった――。
 第4回C・NOVELS大賞受賞作。

--------------------------------------------------------------------------------
 NOVELS大賞としては3番目の大賞作品。2番目の大賞作だった「煌夜祭」が非常に面白かったので期待していましたが、それほどでもなかったかなという感じです。セラの心優しさ、懐の深さは非常に丁寧に書かれてあるし、実際あこがれます。そして彼女を力足らずも支えようとするミリィも好感が持てます。しかしこの二人以外のところへ視点を向けると繋がりや構成が弱いんですよね。テオとの関係を深めていくという流れはかまわないんですが、男性キャラの掘り下げがまだまだ足りないし、最後のボスにいたっては余計だと思いました。話を広げず、身内だけ描くようにすると話が締まってよくなっていたとかも知れません。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 22:11 | comments(0) | -
旧宮殿にて 15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦 感想
旧宮殿にて 15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦
旧宮殿にて 15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦
著者:三雲岳斗 評価:☆☆☆★★

 消えた肖像画、失踪した令嬢、石像の右腕だけが後に残され、遺言書を入れた風変わりな箱は持ち去られた――
 異能の師匠レオナルド・ダ・ヴィンチが、ミラノの宰相ルドヴィコ・スフォルツァ、才媛チェチリアとともに、不可解な謎、奇妙な事件に挑む。そして三人を待ち受ける運命は!?異才・三雲岳斗が描く、稀代の天才・レオナルド・ダ・ヴィンチ。

--------------------------------------------------------------------------------
 光文社文庫。厳密にはライトノベルではないんですが、著者が三雲だったので読んでみました。
 探偵役をレオナルド、ワトソン役をルドヴィゴ、ヒロイン役をチェチリアが演じ、様々な事件の謎を追っていきます。オムニバス形式なのでそれぞれの話を単独で読んでも楽しめるようになっています。登場人物が実在しているというのも面白い点でしょうね。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 22:29 | comments(0) | -
ギロチンマシン 中村奈々子<義務教育編>
ギロチンマシン中村奈々子―義務教育編 (徳間デュアル文庫)
ギロチンマシン中村奈々子―義務教育編 (徳間デュアル文庫)
著者:日日日/イラスト:大出長介 評価:☆☆☆★★

 右手は禍々しい刃、左手は得体のしれない機械――三つ編みにセーラー服、神々しいまでに美しい少女の名は中村奈々子。彼女は、ロボットが人類を滅ぼすために作った〈学園〉最強の処刑人。で、僕は、あらゆるロボットの始祖〈チェシャ・キャット〉を倒すために〈学園〉に潜入した人間様の兵士……のはずなんだけど、なんですかこのラブコメ展開は!
 日日日初の書下し萌え燃えSF学園アクションラブコメディ登場!

--------------------------------------------------------------------------------
 相変わらず乱雑な設定が目立つんですが、それでも続きが気になると思わせる文才を持っているというのは変わらないと思います。しばらく日日日は読んでいなかったけど、全然川ってい内容で安心しました。

 いつの間にやら周囲の美少女に好かれているという設定は確かにありがちなラブコメ展開っぽい。様々な物をぶった切れる機能をもち、周囲から恐れられている機械少女がなれない手付きでお弁当を作ってきてくれたり、ある組織のリーダーが実は、見た目は小学生とみまちがえんばかりの毒舌少女だったり。異常なぐらい親身に世話をしてくれる幼馴染的少女がいたり。

 でも実際のところその辺りは本筋ではなく、外面は人間のように見えるけど実はロボットというところが重要。貴方の目の前にいる人は本当に人間なのだろうか、ただ機械的に動いているだけで、感情をもたないロボットなのではないか。なんかそんなことをいわれている気がします。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 00:22 | comments(0) | trackbacks(0)
ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人 読了
ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人
ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人
著者:賀東招二/イラスト:篠房六郎 評価:☆☆☆★★

 15年前、西大西洋に現れた「ミラージュ・ゲート」。その先に広がっていたのは、剣と魔法の支配する特異な世界――レト・セマーニだった。現代文明と魔法文明がぶつかる混沌のサンテレサ市でベテラン刑事マトバと美少女剣士ティラナは、特別風紀捜査官としてさまざまな難事件に立ち向かう!ファンタジックポリスアクション、待望の第2弾!

 ゲートを越えて持ち込まれた古びた棺桶。そこに収められた女性のミイラはやがて強大な敵として蘇り――!? ゲートの謎に触れる興奮の新展開!(『first night』)

 マトバの愛車を破壊してしまったティラナは教習所通いを決意するが、街では大規模密輸計画が進行しつつあった! 恋愛にオトリ捜査、そしてカーチェイス! 特別風紀班に休息の日は訪れるのか!?(『Need for Speed』)

--------------------------------------------------------------------------------
 前回が長編とするなら、今回は短編が2本という分量。ちょっと変則的に感じてしまいますが、これがZ文庫の特徴なのでしょうか。その点に関してはおおむね成功かな。

 まず『first night』。これは押収した棺桶から吸血鬼が蘇り、次々と人を襲っていくというホラー映画のような展開。本作のようなハードボイルドな世界観には結構合いますね。やはり命のやり取りとそれに伴う狂気、闘士、空しさがマッチするのでしょう。気に入ってしまったのが上司であるジマー警部とのやりとり。口は悪いが根っこの部分は面倒見の良い奴というすばらしいキャラクターで、お気に入りになってしまいました。最初はよくあるアメリカ刑事物みたいに、口うるさくて使えない上司なのかと思ったけど、意外だったな。

 そして『Need for Speed』。読めば分かりますが、よくもまあこんな話を真面目に駆けたものだと感心します。この話、一言でいってしまえば「エロ本泥棒の検挙」なわけですから。真面目に一本話を書いてしまうところ、まさに賀東らしいなぁ。そしてこの話では、マトバとティラナの大人ならではの屈折した恋愛が楽しめる話でもあります。フルメタで青少年の恋愛を描いている反動で書きたくなったんでしょうか。ただ、登場人物たちにとっては恋愛よりもまず【信頼】が欲しいという印象。仕事をしている自分にとっては、このような感情は嫌というほど分かりますね。あと大事なのは【車】ですね。女よりも車に夢中になってしまうマトバの姿に、納得半分、呆れ半分。男ってこんなものだと言われている気がしてなりません。

 かっこいいというよりも泥臭いというイメージの本作。苦くて渋い話好みの人にお薦めです。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0)
イット2 読了
イット2
イット2
著者:児玉ヒロキ/イラスト:ギンカ 評価:☆☆★★★

 好評の『イット』に待望の続編登場。
 辺境の国を統一した、剣士イヴァン、王女ユウリ、そしてイットの3人は、はるばる中原の強国ロウラディアにやって来た。大陸中の注目を集める武闘大会を前にわく王都。そこで繰り広げられる新たな冒険。そして明かされるイットの知恵の謎とは……。

--------------------------------------------------------------------------------
 ジグザグノベルズで出版された「イット」の続編。前作が続編が無いことを前提としたような構成だったのでまさか2巻が出版されるとは思いませんでした。思いのほか人気があったための出版なんでしょうか。今回は前回の舞台から離れ、大陸中部、中原と呼ばれる地域の、強国ロウラディアでの話になります。前回もたびたび名前が出ていたところですね。そのロウラディアでの派遣争いに、イット達が進んで介入していくことになります。今回は顔見せ程度の展開で、事態は大きく動きませんけど。

 イットにベタぼれのお姫様・ユウリは、イヴァンの指南もあってか、かなりの武術を身に付けています。それに加えてイットに対しては益々過保護になっていています。「護くん」で言うところの、鷹栖絢子のメガデレ状態といえば分かりやすいでしょうか。特に、イットが居なくなった性で不機嫌でいるときなど、逆に可愛らしく見えてしまいます。彼女に限らずこの作品の女性は総じて強気なので、そういうのが好きな人はたまらないかもしれません。

 一方、前回大活躍だったコウは今回はなりを潜め、あまり華がありませんね。その分イヴァンが活躍しているわけですが、彼は基本的に単純バカなので、主役には成りきれないんですよね。本格的な戦いが始まれば別でしょうけど。要するに、本作はユウリ以外はあまり目立っていないというわけです。もう少し人を目立たせるように構成してほしかったですね。

 終わり方が続編ありきという感じで、結構中途半端に終わっています。やるなら切りよく終わらせて欲しかったのですが、そもそも短期連載を掲載するという手法をとっているジグザグノベルズですから、それは要求すべきではないのかな。とりあえず様々な謎が残っているので、早々に3巻を出して欲しいものです。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 20:31 | comments(0) | trackbacks(0)
イット 読了
イット
イット
著者:児玉ヒロキ/イラスト:ギンカ 評価:☆☆☆★★

 巫女である祖母とともに、ビルの片隅の神社でひっそりと暮らしていた中学生、一斗。小柄で生来虚弱だが、ちょっとずるがしこいところもあるこの少年が、ある日突然まったくの異世界へ瞬間移動。まるで中世ヨーロッパを思わせるその世界では、ふたつの国の間で、なんと百年にわたって戦いが繰り広げられていた。王から冷遇される悲運の王子、剣を取っては最強の女貴族、力自慢の在野の剣士、野心あふれる商人、そして兄である王子を慕う妹姫…。さまざまな人々との出会いの中で、非力だが一筋縄ではいかない少年イットの知恵と大胆な行動が、やがて戦いを終結に導き、その世界の歴史を塗り替えていく。

--------------------------------------------------------------------------------
 電子書店ハピレスの投票ランキングでは6週連続で1位だったそうで。それがどれほどの面白さなのか気になって読んでみました。ストーリーは、気が付いたら戦乱の只中にある異世界で、自分の知性を武器に危機を乗り越えていくというもの。終盤はちょっと趣が変わりますが、基本的には戦略好きな人が読めば楽しめると思います。

 主人公の一斗は悪知恵に関してはものすごく頭が回り、次々と敵を罠にはめていきます。そしてその頭は戦術に収まらず、商業の面から敵国を攻撃するという多面的な知恵まであるというから恐ろしい。しかし一方で体は弱く、物語内でもいくら怪我をしていたからとはいえスクワットしただけで骨が折れてしまいます。なにもそこまで虚弱体質にしなくても…と思いますよ。ただし、ちょっと物足りなさを感じてしまう部分があります。それは考えるという描写がないこと。いろいろ考えた上でこんな案がでました、ということが描かれないから、一斗に人間味が感じられないんですよね。あまりにヒーロー的存在で感情移入できないんです。

 主人公のパートナーになるのが異世界の国、セイリアンの第三王子コウ。いわゆる良い人です。初めて会ったその時から無条件で一斗を信じると言わしめたその理由がわかりませんが、ものすごく人がいいんだということで良しとしましょう。彼の発言、行動はどれも清々しいので、自分的には彼は癒し系に分類されました。

 コウの妹のユウリですが、ツンデレです。最初はものすごく一斗を嫌っていたのに、自分のことを二の次煮ばかり考える姿に打たれ、次第に心を開いていきます。最終的には自分の身を賭して一斗を守っているので、終盤はデレのみですね。その心の変化は、あまりに変わりすぎに思えて納得できない部分もあるのですが…。

 全体的な特徴としては、所々に未来にはどうなったという文が挿入されていることです。その所為で未来に対する不安要素が全くなくなるので、気持ちよくすらすらと読めます。未来のことを入れることについては意見が分かれるのでしょうが、この本は続編を想定していないようですし、まあいいのではないでしょうか。ストーリーは強引な部分が多々あるので手放しには賞賛できませんが、それを補って余りあるほどサブキャラに魅力があったと思いますよ。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 20:42 | comments(0) | trackbacks(0)
ブルースカイ 読了
ブルースカイ
ブルースカイ
著者:桜庭一樹 評価:☆☆☆★★

 西暦1627年、ドイツ――魔女狩りの苛烈な嵐が吹き荒れるレンスの町で、10歳の少女マリーは<アンチ・キリスト>に出会った……。
 西暦2022年、シンガポール――3Dアーティストの青年ディッキーは、ゴシックワールドの昏い眠りの中、絶滅したはずの“少女”というクリーチャーに出会う……。
 そして、西暦2007年4月の日本。死にたくなるほどきれいな空の下で……。
 3つの箱庭と3つの青空、そして少女についての物語。

--------------------------------------------------------------------------------
「次世代型作家のリアル・フィクション。あたしは死んだ。この空の下で。
 少女という概念をめぐる3つの箱庭の物語」

 それが本作の紹介帯です。リアルというのは誇張しすぎだとと思う反面、どこか人の息遣いが漂う生生しい話であることは事実。これはノンフィクションしか読まない人にも気軽にお勧めできると思います。この本は大きく3つの少に分かれ、それぞれが"少女”とは何かをテーマとして扱っています。まずテーマありきの展開なので、スパッとしたわかりやすい話が好きだという人にはあまりお薦めできませんね。話はひどく読者に対して不親切なので、難解な部分は割り切って読み薦めなくてはいけなくなりますから。

 第一章は魔女狩りが始まったドイツでの話。ある少女マリーが自分のお婆さんと引っ越してきた町で、色々な体験をします。お婆さんは魔術をかじっているらしく、時々マリーに不思議なことを語って聞かせます。近所にはクリスティーネという綺麗な女性がおり、彼女を含めた町の人とは仲良くしていたのですが、そこで魔女狩りが始まります。魔女と訴えられてクリスティーネが捕まり、ひどい拷問を受けて殺されてしまいます。あれほど美しかったクリスティーネがぼろぼろになってしまったことに対するマリーの当惑、そして非望。魔の手は自分のところにも伸び、おばあさんが捕まってしまいます。その時に出合う<アンチ・キリスト>。<アンチ・キリスト>は何をするでもなく突然の環境の変化に当惑するばかり。その後、マリーはおばあさんのまじないによって自分にも降りかかるはずだった魔の手を逃れ、遠く海の向こうへと<アンチ・キリスト>と共に旅立ちます。<アンチキリスト>のことも含めて、今までの日常が突然がらりと変わり、全く別の環境に投げ出されるということ。それは、少女だった自分に無理やり別れを告げることを意味します。少女の終わりは唐突であり、楽しめる期間は少ない。たぶん、これは著者の実感なのでしょう。

 第2章は未来に跳んでデザイナーとして仕事に励む成年の話。デザイナーのディッキーは、普通に女性とも付き合いはあるけれど基本的に男女関係まで視野を広げることの無い成年です。彼は、”少女”に対して幻想的な思いを持っています。それは”少女”はもう絶滅していて存在していないということ。女性が無垢である期間、それが少女。それがいつのまにかなくなってしまった、そして今いるのは、大人になるのが早い女性だけだというのです。そして彼は、フィクションの中でそれを求めます。どことなく廃退感が漂うお話です。はたして、少女であるとはいかなることなのかを問い掛けられている気がします。これについては、女性に直接お聞きするしか解答する手段がないですね。

 第3章がいよいよ本筋。けれども一番短い話です。ある少女、青井ソラが突然噴火に巻き込まれ、死んでしまうまでの三日間が描かれます。一日一日を単調に過ごし、恋や娯楽や勉強や小雷似ついて考える、一般的な生活です。そんな彼女が噴火にまきこまれたと同時に過去や未来に飛ばされます。これが1・2章につながっていたのです。そして現代に帰ってきてみれば、突然大空へ投げ込まれ、死んでしまう。ひとこと「さよなら、せかい」と言って。これは世界に見放されたがための慟哭なのか、綺麗な青空を最後に覗かせてくれた感謝なのか。この辺の解釈を考えてみるのは面白いかもしれません。

 読み終わった後はなんともいえないもやもや感が残りましたが、この作品を楽しんだのは確かです。ところでこの本、装丁のデザインがかなりいいので、それだけでもお薦めできますよ。一度手にとって見てはいかがでしょう。
Posted by : ななかの | その他レーベル | 20:45 | comments(0) | trackbacks(0)
TOP