暇潰しにラノベ感想&時々イベントの感想もあるよサイト
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SHI-NO −シノ− 空色の未来図 感想
SHI-NO-シノ-空色の未来図
SHI-NO-シノ-空色の未来図
著者:上月雨音/イラスト:東条さかな 評価:☆☆☆★★

「キミは絶対、ボクのことを好きになる!」
 出会ったばかりの高2の春、僕に宣戦布告してきた大薙詩葉。予知能力者を言い張るイタイ女だ、なんて思ったけれど、僕はまんまとしてやられた。その言葉どおり、彼女を好きになってしまったのだから。詩葉には、本当に見えていたのかもしれない。彼女の死後、詩葉の名を騙った誰かが今の僕を故郷に呼び戻すということまでも――。詩葉はもうこの世に居ない。自殺したのだ――と言われている。僕は、彼女の死ときちんと向き合うために故郷へ戻ってきた。
 今度ばかりは、志乃ちゃんの手を借りるわけにはいかない。僕が自分で、詩葉と決別するのだ。この先、志乃ちゃんと一緒に生きて行く為に。
 ――って、あれ?
 志乃ちゃん!どうしてこんなところにっっっ!?大学生の僕と、小学生の志乃ちゃんとの純愛系ミステリー!!

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 実際には「呪いは五つの穴にある」からの4冊を全部読んだのですが、いまさら感があるので最新刊についてだけ感想書きます。
 今までは「僕」はあくまで観客であり、物語の主軸には交わらない存在だったわけですが、この巻においては大活躍。なにせ「僕」が過去に恋した女性にまつわる、「僕」の地元での話ですから。もちろんあいかわらず「シノ」も活躍しますが、今回に関しては「僕」と「シノ」が平行して活躍していくという展開です。いつになく冴え渡る僕の行動は、かっこいいといわざるを得ない。普段とは配役の違う物語ほど面白いものはありませんが、まさにどんぴしゃです。
 今回の見所は過去、「僕」に彼女らしい女性がいたと知ったときの女性人の反応。動揺せずにはいられない先輩には注目かと。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 20:19 | comments(0) | -
幽霊列車とこんぺい糖 メモリー・オブ・リガヤ 感想
幽霊列車とこんぺい糖
幽霊列車とこんぺい糖
著者:木ノ歌詠/イラスト:尾崎弘宜 評価:☆☆☆★★

「うそっ!最悪だ…」
 中学二年生の有賀海幸は、7月の焼けつくような日射しの中、思いっきり絶望感を味わっていた。地元のローカル線に飛び込み自殺をするはずが、廃線になっていたから……。
 自分に保険金までかけるという海幸の完璧な計画は、変更を余儀なくされてしまう。そんな彼女の前に、突然リガヤと名乗る女子高生が現れた。
 タガログ語で"幸せ"を意味する名を持つリガヤは、海幸を廃線の線路の先へと誘う。そこにはポツンと一台の廃棄車両があった――。
「ボクがこいつを『幽霊鉄道』として、甦らせてみせる!」
 そう宣言するリガヤとともに、こうして海幸の不思議で先の見えない夏が始まった……。
 瑞々しく切なく揺れる少女たちのひと夏を描く、青春ファンタスティック・ストーリー登場!!

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 自分に絶望している少女がある夏の日に一人の少女と出会い、打ち解けていく中で次第にその少女の自分以上の絶望を知ることになる、そして……。比較するのも何なのですが、かなり乙一テイストの強い作品です。思春期真っ只中の少女たちの、ネガティブな葛藤などが好きな人にはお勧めですね。
 ただラノベらしいのは、主人公の海幸にとって実の親であるチコこそ子供であり面倒を見る対象で、親子関係が逆転しているという設定。このため思春期の頃の無差別に湧き出す大人に対する不満が、正当性をもっているんですね。そのためそんないらだつばかりの現実を逃げ出したい、自殺したいという主人公の思考に説得力があります。そのため、後半にそんな自分を否定していくという転換が非常に面白くなっているんですけどね。
 注意点としては、比較的百合要素が強めなこと。苦手な人にはお勧めできません。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 22:12 | comments(0) | trackbacks(0)
ShI-NO -シノ- 天使と悪魔 感想
SHI‐NO―天使と悪魔
SHI‐NO―天使と悪魔
著者:上月雨音/イラスト:東条さかな 評価:☆☆☆★★

 このところ志乃ちゃんの様子がおかしい。もう三日も僕の家によりつかない。普通なら僕のところで夕飯を食べるのが日課なのに。
 キララ先輩には「倦怠期ちゃうか?」なんてからかわれるけど、僕は心配なんだ。志乃ちゃんが僕を遠ざけるのは、本当に危ない事件に関わっているからなんじゃないかと――。
 僕の願いは、たった一つ。何時の日か志乃ちゃんが心から笑ってくれるその日まで、ずっと見守っていこうと決めている。だけど、それは志乃ちゃんにとって重荷なんだろうか。僕は志乃ちゃんのことを本当は何も理解できていなかったのかもしれない。
 一人の少女の誘拐事件に絡む謎が、僕と志乃ちゃんの細くて頼りない絆を変えていく。
 ダークでクールな小学五年生・志乃ちゃんと大学生の僕が織りなす、純愛系ミステリー第三弾!!

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 今回は志乃の活躍が一休みで、「僕」が新キャラの真白の依頼を受けて、彼女の兄を探し回ることがメインです。真白の「僕」に対する愛着のほどは分かりませんが、少し気に入っている風を思わせる描写もあり、志乃のライバルキャラという位置付けのように思えます。実際に次巻にも出ていますし、今後も登場しそうですね。
 今回のテーマは、全てから見て正義たるものはありえるのかということ。逆説的に、どんなに間違っているように見えても、たった一人にとっては正義だということもある、という証明を行っています。結局、人は自分にとって都合のいい正義に重点を置いて行動することしかできないということですね。この証明は真白とその兄の関係から行っているわけですが、これは志乃自身にも当てはまるんですね。彼女は自分に違和感を憶えながらも「僕」にとっての正義になるように行動しているだけだという。真白と兄、志乃と「僕」の立場はすごく対称的なため、今回の話で志乃と「僕」の関係に疑問を投げかけることになっていますね。今回を契機として、志乃と「僕」の関係がどのように推移するのか、非情に楽しみです。
 今回注目したいのはクロス。なんか憎めない奴ですよね。かまってもらいたくて志乃の周りをうろうろしているのに、全くかまってもらえないというところとか、そりゃ東条さんのお気に入りになるわけです。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 22:07 | comments(0) | trackbacks(0)
SHI-NO―シノ― 愛の証明 読了
SHI‐NO―愛の証明
SHI‐NO―愛の証明
著者:上月雨音/イラスト:東条さかな 評価:☆☆☆★★

「最悪――貴方だけは生き残る」
 志乃ちゃんの、闇に沈み込むような口調に、ゾクリと魂が――身体ではなく心でもなく、僕という存在そのものが震えた。
 デパートに閉じこめられ、あと二時間で時限爆弾が爆発するという状況で志乃ちゃんは平然とそんなことを言う。もしも、爆弾も解体できず、犯人も見つけられず、二時間のタイムリミットが迫るという最悪の状況になったとしたら――。あの日、銀色の髪の少女が言ったように、志乃ちゃんは本当に犯人もろとも僕以外の人々を殺してしまうんだろうか。必要とあらば、キララ先輩や自分自身でさえも?
 いや、そんなのは駄目だ。志乃ちゃんは誰も殺さない。誰も殺させたりなんかしない。僕らは、まだどうしようもないほどに他人かもしれないけれど、僕はこれからもずっと志乃ちゃんの傍で生きていきたいんだ。
 いつか、彼女の本当の家族になるために――。
 ダークな魂を持つ小学生の志乃ちゃんと大学生の僕との純愛系ミステリー第四弾。

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 今回読んで、失敗したことがあります。それは「3巻を読んでいなかった」ということ。あれ?なんで気付かなかったんだろう。4巻は1〜3の総決算のような話だとあとがきにあったので、3巻から受けている影響は大きいはず。実際、読んでいて良く分からない展開、登場人物が出てきていましたし。これは大失敗。早いうちに3巻を読んでしまう事にします。

 今回は爆弾が設置された閉ざされた密室内で、如何にして設置した犯人を見つけ出すのかという推理劇。タイムリミットが迫る緊迫した状態で、疑心暗鬼に怯えながら犯人を特定することになります。

 この作品で最も面白いのは「死と相対したときの受け止め方」ですね。死ぬ事で永遠に鳴ろうとした者、死を憧れの存在と同じになるための手段とした者、そして生きたいがために死を選ぶという矛盾した者。それぞれに難しく理解し難い部分もありますが、少なくとも自分の生きかたを見直す糧にはなったかもしれません。何か失望することがあったとき、この本を読むと癒されるかもしれませんね。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 20:41 | comments(0) | trackbacks(5)
セカイのスキマ3 読了
セカイのスキマ 3 (3)
セカイのスキマ 3 (3)
著者:田代裕彦/イラスト:綾瀬はづき 評価:☆☆☆☆★

 その頁が全て埋まる時、怪異が世界を覆い尽くすという奇書【四つ辻の書】。
 四つ辻の書を有する、オカルト同好会【四つ辻の会】の部員である小澤哲は、顧問の悠美にのせられ半ば強制的に、学園の夏の行事、山林ボランティアに参加することに。
 みこ・りこら宮守姉妹、遥菜たち部員と共に、伊豆にある合宿所へ向かった哲。哲は、そこで知り合いになった高校生、和良の母親が“カミカクシ”なる怪異に連れ去られたと聞かされる。
「俺、知ってるよ。その――妖怪ってやつ」
 カミカクシ――神隠し。
 しかし、それは本当に怪異なのか?怪異という隠れ蓑を利用した事件なのでは?
 哲は、事の裏にある真実を見極めようとするが――。
 学園ブビリオミステリ第三弾!

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 今回の怪異は神隠し。このような題材だと、どうしても電撃のMissingと比べたくなりますね。あちらは恐怖小説な一方、こちらは推理小説だという前提は違いますけど。残念ならが今回で一旦終了とのことで大きな区切りがうたれるのですが、その区切りの付け方にも共通項が多く、ちょっと意識したのかな?と邪推してしまうところもあります。

 夏季合宿ということで訪れた山林の村で起こった、神隠しの事件。そしてそれは、みこが、ひいては【四つ辻の会】が周囲から恐れられる事件にも関わっているという展開を見せます。見所はなんと言っても哲の行動力と牽引力でしょう。今までいやいやながらにやっていた妖怪退治を、ついにみずから請け負ってしまいます。そしてそのように行動してしまう自分自身の気持ちに気付いた時が見所ですね。そしてみこも、周囲の事に気が配れない性格なのに、妙に哲が気になってしまうという描写。さすがミステリー文庫、LOVEしてます。

 もっとずっと続いていくと思っていただけに、今回で幕引きというのは残念でなりません。また続編が作られればいいですね。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 14:23 | comments(0) | trackbacks(0)
ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン 読了
ネコのおと―リレーノベル・ラブバージョン
ネコのおと―リレーノベル・ラブバージョン
著者:新井輝,築地俊彦,水城正太郎,師走トオル,田代裕彦,吉田茄矢,あざの耕平
イラスト:さっち,駒都えーじ,しのざきあきら,緋呂河とも,若月さな,深山和香,村崎久都
評価:☆☆☆☆☆

 2005年10月23日。
 富士見ミステリー文庫が誇る作家陣が、読者と共に「めちゃ売れ」企画を考えようというイベントが華やかに開催されました。
 傍から見れば無謀とも言える題材でひねり出されたのがこの企画。
 作家同士でリレー小説をやっちゃおう!

 これぞ富士見ミステリー文庫の強み!心意気!!
 こんな企画ができるのは富士見ミステリー文庫だけ!!
 ふとしたことから手に入れてしまった謎の学級日誌がキャラクターたちの手から手へ――。
 物語は、息つく暇なく驚愕のラストへと向かって疾走します。
 世紀の奇書、もしくは富士ミスが生んだ奇跡をご堪能ください。

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 実際に読んでみるまでは「ネコの音」?ネコの足音が重要な話なのか?とか、またネコ耳なんてかきやがって、色物企画?とか考えていたのですが、まるっきり勘違いであったり、色物は色物でも良い意味での色物だったりと、様々な意味で予想を超えた作品でした。これは間違いなく面白いですよ!

 富士見ミステリーが誇る7人の作家がリレー形式で物語を綴ると言う、明らかに破綻するんだろうなという雰囲気満々の企画作品。同人誌のノリで商品作って大丈夫か?という心配が無くも無かったですが、時代はコミックに同人誌がおまけで着く時代。すごく大規模な作者コメントと思えば問題ないですね。コメントこそが真骨頂という人も少なからず存在するわけですしねw

 新井さん、菊池さんは最初の方だけあって比較的おとなしめに話を展開させていますが、水城さんから物語は脱線を始めます。なんと作者みずからが作品内に登場。自身作品のキャラを使って作品を作るというお題目が早々に崩れ、キャラクターよりも作者が作品内で目立つという現象が発生。あとはもう流されるままに内輪ネタをふんだんに含んだ内部抗争へと勃発。この一連の流れがおもしろい!明らかに作者の本音だったり実話だったりする部分が含まれています。最後には「ボス」が用意されているのですが、それはなんと…。最後まで目が話せないこと確実です。

 メタ的構成が受け入られている昨今の風潮ですが、一線で活躍する作家陣のメタに対する考え方も読み取れて、結構面白いですね。ところで、吉田先生は書いてある通りにドジッ娘として認識してよろしいのでしょうかw
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 23:04 | comments(0) | trackbacks(0)
しずるさんと無言の姫君たち 読了
しずるさんと無言の姫君たち―The Silent Princess In The Unprincipled Tales
しずるさんと無言の姫君たち―The Silent Princess In The Unprincipled Tales
著者:上遠野浩平/イラスト:椋本夏夜 評価:☆☆☆★★

「よーちゃん、人は死ぬものよ。それはたとえ、どんなに綺麗なお姫様であっても例外ではない。そして死んだ者は、もう何も語ることはないのよ」
 しずるさんが静かにそう語るとき、どんなに不思議な事件でも、それはもう解決している――でも彼女がほんとうに知りたいことは何なのか、私なんかにはよくわからなくて……白い病室の中で少女たちが話し合うのは惨たらしい四つの殺人事件の話です。それらはとても変わった事件で、被害者はなんだか、お伽噺の姫君のような有様なのでした。白雪姫に人魚姫、眠り姫にかぐや姫みたいな奇妙な死者たち――物言わぬその人たちの代わりのように、少女たちは大いに語ります。ねじれた謎を解くために、そして言葉にならなかった出来事をもう一度、はっきりと語り直すために。奇抜で不思議で突拍子もない、ちょっと意地悪なしずるさんの推理は、今回も容赦ありません――。
 上遠野浩平が描く、安楽椅子探偵ミステリー、第3弾!!

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 しずるさんシリーズ第3弾。題名にある「姫君たち」というのは、あまりの異常性のために、世間からは○○姫と呼ばれることになった女性の死体のことを指しています。そのような事件を、いつものようにベットの上で、しずるさんとよーちゃんが解き明かしていきます。今回収録されている事件は4つで、それぞれ「白雪姫」、「人魚姫」、「眠り姫」、「かぐや姫」となっています。雪山で信じられないほど軽装で綺麗なまま見つかったために白雪姫とか、綺麗な状態なのに下半身だけが消えていた状態で発見されたために人魚姫とか、結構強引にこぎつけている気もしますけどね。

 事前に読んだのが「断章のグリム」だったのに、人魚姫とか白雪姫とか出てこられたので、なんかホラーを読んでいるような錯覚を起こしながら読みました。これは本を選択するタイミングを間違えましたね…。ところで恐怖といえば、どんなに異常な事件であってもしずるさんとよーちゃんは事件とは全く関係ないところで世間話をしているに過ぎないわけですから、事件そのものには恐怖を感じても、のんきに話を続けられる程度なのでしょうね。おそらく二人にとっては、学校の階段とかお姫様が活躍する童話の話をしているのと一緒の感覚なのでしょう。改めて思いましたが、ただ女性二人がのんきに話をしているだけというこの構成って、すごい特殊で面白いと思います。

 どの話でもしずるさんは教訓めいたことを言っているのですが、毎回煙にまかれてしまうよーちゃんと同様に、自分にもその言葉の真意が伝わってこないのが残念なところ。どうせ書くなら、もう少し分かりやすく突っ込んでもらいたいですね。そこが残念な点です。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 13:26 | comments(0) | trackbacks(0)
セカイのスキマ2 読了
セカイのスキマ〈2〉
セカイのスキマ〈2〉
著者:田代裕彦/イラスト:綾瀬はづき 評価:☆☆☆☆☆

 巷に溢れる怪異が自動的に記される奇書「四ツ辻ノ書」。そこに怪異が記されないよう活動しているという【四つ辻の会】の部員である宮守みこの執拗な勧誘に根負けし、会の一員になってしまった小澤哲は、ある日、みこにソックリな少女を見かける。
 しかし、声をかけた哲に冷たい一瞥と一言を残し少女は去っていく。
「ばか」
 あれは、みこのドッペルゲンガー?首をひねる哲のもとに飛び込んできた一人の少女。"火車"から祖父を取り戻して欲しい――
 依頼人の少女・宏美は【四つ辻の会】が妖怪退治をしているという噂を聞いてやってきたと言う。
 そして、宏美に【四つ辻の会】を紹介した人物こそみこの妹・りこ。みこのドッペルゲンガーと見まごうほど瓜二つの姉妹。しかし、哲は二人の間に流れる不穏な空気を感じ取り――?
 学園ビブリオミステリ第二弾!

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 個人的にハズレが無いと思う作家、田代裕彦の最新作。最初からシリーズ化を予定して執筆されたということで、他の作品よりも導入がスムーズだったという感があります。もちろん第一巻を踏まえての印象なのですけどね。

 今回は新キャラとして、みこの妹のりこが登場。外見上はみことそっくりですが、双子というわけではなく、同じ年に生まれた年子の姉妹という設定です。りこの方が背が高く、その点がみこにとってはコンプレックスになっているようです。りこの性格を一言で言えばクール。視線は冷たく、言動もきついです。そして、みこのように眼鏡はかけていません。似ているのに性格的には正反対ともいえる姉妹。もしかしたら、それぞれに望んで違う存在であろうとした結果なのかもしれませんが、その辺は今後の続刊で語られることを期待するとしましょう。依頼人はりこの親友の宏美。りこがきっかけとなって、宏美は【四つ辻の会】に依頼を持ち込むことになります。

 今回の依頼は"火車"退治。葬列を襲い、生前悪人だった人物の死体を連れ去ってしまうといわれる妖怪です。宏美は、自分のおじいさんの遺骨が消えてしまったのは"火車"のせいだと信じています。なぜなら、消えるはずの無い状況で遺骨が消えてしまったから。主人公の小澤哲は、この事件の真相を暴き、妖怪の仕業だということを否定しなければなりません。だからこそ野妖怪退治といわれるわけですね。その解き明かし方はまさになるほどと思えるぐらいに順序だっていて、整合性も取れており、賞賛を送らずには居られませんでした。これだけ正面から「ミステリー文庫」を体現している作品、なかなか無いですよ。

 心理描写も深くなりすぎない程度にこと細かく気を配っていることが伺え、出来に隙がありません。特に悠美とみことのちょっと真剣な会話がお気に入りです。人との付き合い方に悩んでいたり、自分が成すことに自身がもてないという方に、ちょっとしたサプリを与えてくれるような内容だと自信を持って言えますよ。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 23:04 | comments(0) | trackbacks(0)
SHI-NO 黒き魂の少女 読了
SHINO ―シノ― 黒き魂の少女
SHINO ―シノ― 黒き魂の少女
著者:上月雨音/イラスト:東条さかな 評価:☆☆☆★★

「……おじゃまします」
 僕のアパートのドアをノックも無しに開け、当然のように無言で部屋に上がり込む彼女――支倉志乃ちゃん。
 彼女は小学五年生。僕は大学一年だけど、志乃ちゃんがまだ小さなころから知っている。いわゆる幼なじみというやつなのだ。
 彼女はグリンピースが嫌いなこと以外、おとなしくて全く手のかからない良い子だ。だけど、僕には一つだけ心配な事がある。志乃ちゃんは猟奇的な事件や怪事件にだけ異常に興味を示すのだ。僕は、志乃ちゃんにはワガママでもいいから普通の小学生でいて欲しいのに。
 けれど、そんな僕の気持ちなんかおかまいなしに、彼女は一人で危ない事件の謎に近づいていたんだ。
 大学生の僕とクールな小学生の志乃ちゃんが贈る純愛系ミステリー、登場!!

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 つい第二巻を先に読んでしまっていましたが、今回はれて第一巻を読みました。最初の入り方、志乃ちゃんや鴻池先輩の紹介の仕方や日常生活の描写があまりに二巻と同じだった所為で、間違えて同じ本買っちゃったっけ・・?と最初本気で思いましたよ。逆を言えば二巻が同じってことなんだけど。まあそれはともかく、今回の話は集団自殺事件について。集団殺人事件といわれるとフィクション感はぬぐえないけど、集団自殺と言われたら、そういうこともあるかもね、という現実感があります。それだけネットを介して自殺が広がってしまった、そして自殺が身近になってしまったんだなという、現実に対する危機感を感じてしまいます。

 志乃ちゃんと主人公(結局名前は最後まで呼ばれないんです)の関係はかなりドライで、二人で居ることが当たり前だけど、かといって話をして楽しむわけではないという関係。恋人同士というよりは、年頃の娘を持った父親とその娘の関係といった方が近い関係だと思います。互いに気心は知れているはずなのに、めんどくさいから語り合おうとしないというような。これは小中学生の女性にみてもらいたい本ですね。父親が何を考えているのかの一端が見れますから。

 この本で頻繁に出てくる言葉、デットエンドコンプレックス。それが本作のキーワードとなります。単語の意味通りに考えれば、死んでしまう事への渇望と言えるかもしれません。死んでしまえば楽になれる、生きていることに意味など無いから死んでしまいたい、例え死んでも人の間で伝えられるならばそれは生きているということだなのだから死んでしまおう、そういった渇望のことなのでしょう。作品内では、それについては志乃ちゃんが肯定している一方で、親しい主人公がいるからこそ死ねないと言っています。個人的には自殺してしまう人というのはひどく自分本位な人で、他人のことなんて考えていないと思っています。死ねば人が悲しむことを知ろうとしていないわけですから。だからこそ、自殺に願望を持ちながらも【他人】である主人公が居るから志乃ちゃんは死ねないんでしょうね。ちょっと人生に疲れているとき読めば、ちょっとしたサプリメントになると思える一冊だと思いました。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0)
ロクメンダイス、 読了
ロクメンダイス、
ロクメンダイス、
著者:中村九郎/イラスト:dow 評価:☆☆★★★

 ハツはカウンセラーに伝えられた――「何事にも正直に生きなければ、一年後には死んでしまう」、と。そして、特効薬は――恋をすること。
 高校入学と同時に、施設《六面ダイス》で、四人の心に傷を抱えた<患者>たちと共同生活を送ることになったハツ。三つ年上のヒロムは<亡霊>と呼ばれる帰還兵。美容師のララ子は、表と裏の二つの顔を持つ。なかでもチェリーはハツよりもずっと重い心の悩みを抱えていた。少しでも心を揺さぶられると、感情を抑え込むために、心の白血球ともいうべき<心辺警護>が、他人に危害を加えようと動き出すのだ。だから、恋なんてできやしない。
 しかし、ハツはチェリーに恋をしてしまう。
 目に見えない、やっかいな<心辺警護>は敵意をむき出しにしてハツを襲う。恋をしなければならないハツ、恋をしてはならないチェリー。二人の恋の行方は――。そして《六面ダイス》に隠された大がかりな謎とは!?
 センシティブでミステリアス、純愛ラブストーリー!

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まずこの本について言えるのは、文章が独創的で奇抜であるということ。良い意味では誰にもまねできない個性あふれる文章といえるでしょうが、悪い意味では説得力が無い・展開があまりに唐突であるということが挙げられます。これは評価が真っ二つに分かれる作品だと思います。ちなみに自分は、ちょっと受け付けられなかったほうです。

 登場人物はそれぞれ心に障害があり、それを矯正するめにカウンセラーの湯上の下、ロクメンダイスという施設に住んでいます。まずララ子は二重人格で、金髪状態の時は粗暴でずけずけとものをいう性格をしているのですが、黒髪状態になると理知的でおとなしい性格に一変します。金髪は黒髪を殺そうとしていますが、黒髪は金髪に届け物をしようとしています。出会うはずの無い二人が追いかけあうという、不毛な状況が繰り返されています。このララ子がこの本の中で最も異様性を体現していて、印象が深いキャラですね。このキャラがあってロクメンダイス、という世界の異様性を強く認識できると思います。ヒロムは大柄でスキンヘッドな男。しかし、過去の傷ゆえか極度の怖がりです。極限を超えると暴走したりしますが、基本的にはすぐに逃げ出す性格です。彼はハツを手助けしてくれる「良い」キャラとして描かれています。主人公のハツについては分かりにくいのですが、おそらく感受性がものすごく乏しくて、感情の起伏がないのでしょう。作中で散々言われるハツの死とは、肉体的な死ではなく精神的な死なのだと考えれば説明がつくと思います。そこで恋をすることが特効薬だなどといわれるわけですが、その相手がチェリーだったということで話がややこしくなります。チェリーは感情を揺さぶられると、揺さぶる相手を物理的に攻撃する心辺警護という存在(精神的な働きかけが物理的に作用して生み出すらしい)を知らず知らず出現させ、それが揺さぶった相手に攻撃を仕掛けます。つまり、感情を揺らしてはいけない状態なわけです。それ、は感情を揺さぶられなければならない主人公とは正反対。この二人がどんな恋愛をし、それぞれの病をどう克服するのかがこの本の結論となります。

 ところで、さらっと心辺警護の原理を説明されますが、その理論展開があまりに理解不能です。心辺警護に限らず、他の部分でも大概説明が唐突です。心の宝石を盗むのが目的だとか、心のデータをロードできるとか、精神的働きかけにより武器が作られるとか。登場人物が理論を説明するのなら、そういうものだと無理やり割り切らなければ話が進みません。割り切れるかどうかが、この作品を楽しめるか否かにかかってくると思います。初めて読んだとき、「この作品の登場人物はニュータイプか!」と思いましたよ。彼らはそれぞれ理解して会話しているようですが、それが視聴者(読者)には届かないという感じで。

ミステリーとして楽しむことができなかった点があるのですが、それは、登場人物全員が精神を病んでいるという点です。もしかしたら、主人公は客観的な話をできず、妄想が含まれた主観的な話をしているのではないかと最後まで思っていました。なぜなら、話が全く客観性を考慮したものではなかったからです。客観性が消失するとミステリーとしては致命的なので、どうなることかと思いましたが、最終的にはそれは考えなくてもよかったようですね。「ひぐらし」という前例があるだけに、心配すぎだったようです。

この本は、予定調和だったりありきたりなストーリーは飽きてしまったという方にはお勧めです。だけど、それが吉と出るか凶とでるかはその人の感受性次第ですね。
Posted by : ななかの | 富士見ミステリー文庫 | 20:56 | comments(0) | trackbacks(0)
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